非戦70年 ちひろ・平和への願い

期 間 2015年8月5日(水)~10月25日(日)
主 催 ちひろ美術館

世界中のこどもみんなに 
平和としあわせを いわさきちひろ 1970年

第二次世界大戦が終結して、今年で70年。日本は過去の歴史を顧み、戦争を放棄し、非戦の国として歩んできました。しかし、世界では今も戦争やテロなどが絶えず、多くの子どもたちが生命の危機と著しい貧困に苦しめられています。
いわさきちひろは、日本全体が戦争へと突き進むなかで青春時代を過ごし、生命だけではなく、人の心もむしばむ戦争の現実を目の当たりにしました。戦後、画家となり、生涯を通じて子どもたちの姿を描くことで、本当の豊かさや、やさしさ、美しさとはなにかを問い続けました。
本展では、ちひろが手がけた戦争をテーマにした絵本のほか、いのちの輝きをとらえたあかちゃんや子どもを描いた作品を展示し、ちひろが絵筆に托した願いを見つめ直します。

戦争の記憶-平和への願い


戦場にいかなくても戦火のなかでこどもたちがどうしているのか、どうなってしまうのかよくわかるのです。子どもは、そのあどけない瞳やくちびるやその心までが、世界じゅうみんなおんなじだからなんです。 いわさきちひろ 1973年

焔のなかの母と子 『戦火のなかの子どもたち』(岩崎書店)より 1973 年

1967年、終戦から22年が経過し、高度経済成長期の只中にあった日本では、次第に戦争の記憶が薄れていました。しかし、ベトナム戦争が報じられると、戦争を知らない世代も反戦運動に参加するなど、大きな関心が寄せられました。そんな折、ちひろは広島の原爆で被爆した子どもたちの詩や作文に絵を描いた『わたしがちいさかったときに』に取り組みます。1972年には、ベトナム戦争でゲリラ兵士となった母親と、母親の帰りを待つ子どもたちを描いた『母さんはおるす』の絵を手がけます。晩年のちひろは体調を崩し、入退院を繰り返すなかで、「私のできる唯一のやりかただから」と、はやる気持ちで『戦火のなかの子どもたち』を描きました。自身が体験した戦争に照らし、ベトナムの子どもに心を寄せ、戦争への怒りと憤りを描いたこの絵本は新たな絵本表現を切り拓きました。

焼け跡を見つめる少年 『わたしがちいさかったときに』(童心社)より 1967 年
戦中にちひろが描いた慰問葉書を当館で初公開
太平洋戦争中、兵士たちを慰問する郵便物のためにちひろが描いたとみられる原画7点が昨年8 月に東京の日本青年館で発見されました。終戦前のちひろの作品は空襲でほとんど焼失しているため、現存する最も古い作品のひとつです。ちひろと戦争を伝える作品として、当館で初公開します。

いのちの輝き


平和で、豊かで、美しく、可愛いものがほんとうに好きで、そういうものをこわしていこうとする力に限りない憤りを感じます。いわさきちひろ 1972年
四季折々の自然に親しみ、小さな生き物に心を動かし、家族や友だちと心を通わせる子どもたち……。 「子どもというのは、あらゆる可能性をもっている大切な人間の宝です」と語ったちひろにとって、子どもは尊い生命そのものでした。子どもたちのいる平和な情景は、本当に大切なものはなにかを問いかけてきます。

小鳥とあかちゃん 1971年

ちひろの願いを引き継いで

ちひろの平和への願いは、今も、絵を通してさまざまな形で引き継がれています。『井上ひさしの 子どもにつたえる日本国憲法』(講談社)は、小学生にも読めるように、日本国憲法の前文と第9 条を取り上げ、井上ひさしの文とちひろの絵でやさしく伝えています。この本に掲載された作品をことばとともに展示します。

『子どもにつたえる日本国憲法』

展示関連イベント

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非戦70年記念 高畑勲講演会「いわさきちひろの絵が語るもの」

  • 戦後70年の節目の年に、『火垂るの墓』や『かぐや姫の物語』で知られるアニメーション作家の高畑勲が、ちひろや自身の作品を通して、平和への思いを語ります。『火垂るの墓』と『戦火のなかの子どもたち』の知られざるエピソードなどもお話しします。
  • 日時:9/27(日)15:00~16:30
  • 講師:高畑勲(アニメーション作家:スタジオジブリ所属、当財団評議員)
  • 定員:60名
  • 参加費:500円(入館料別)
  • *要申し込み 8/27(木)受付開始

水彩のにじみでキーホルダーをつくろう

  • ちひろが得意とした水彩技法の「にじみ」を使って、オリジナルのキーホルダーをつくります。
  • 日時:8/23(日)10:30~
  • 対象:5歳~大人
  • 定員:70名
  • 参加費:300円
  • *当日申し込み 受付開始10:00~(最終受付15:00)

ギャラリートーク

  • 日時:8/15、9/5、9/19、10/3、10/17
  • 時間:14:00~
  • ※参加自由、無料(入館料のみ)

松本猛ギャラリートーク

  • いわさきちひろの命日にあたる8月8日に、一人息子である松本猛がギャラリートークを開催します。
    ちひろの平和への思いや、家族だけが知る画家の素顔や思い出、作品にまつわるエピソードなどを、お話します。
  • 日時:8/8(土)14:00~
  • 講師:松本猛(絵本学会会長・ちひろ美術館常任顧問)
  • *参加自由・無料(入館料のみ)
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