ちひろと香月泰男 ― 母のまなざし、父のまなざし ―

期 間 2012年3月1日(木)~5月20日(日)
場 所 展示室1、展示室2、展示室3
後 援 杉並区教育委員会、中野区、西東京市教育委員会、練馬区教育委員会、武蔵野市教育委員会
協 力 香月家、香月泰男美術館、山口県立美術館
山口県生まれの画家・香月泰男は、第二次世界大戦後のシベリア抑留以後、ほぼ故郷の三隅を離れることなく、愛する家族や身近な自然のなかで制作を続けました。香月の7年後に生まれたいわさきちひろは、戦後、東京の練馬区下石神井(現ちひろ美術館・東京所在地)で家族と暮らしながら、子どもの本の世界で活躍しました。生涯会うことのなかったものの、ふたりはほぼ同じ時代を生きています。
本展では、ちひろと香月の作品を「母のまなざし、父のまなざし」「戦争」「家族への想い」「小さきものへのまなざし」の4つのテーマに分け、家族を愛し、平和をかけがえのないものとして描き続けたふたりの画家の世界を紹介します。

※安曇野ちひろ美術館で開催された「ちひろと香月」展とは、展示作品が異なります。
香月泰男 父と子 1969年 いわさきちひろ 母の日 1972年

香月泰男 1911-1974

山口県三隅市(現・長門市)に生まれる。東京美術学校(現・東京藝術大学)在学中から国画会に出品、同人となる。卒業後、北海道に美術教諭として赴任、後に山口県に転任。1938年、藤家婦美子と結婚、長男直樹、長女慶子、次女敞子が生まれる。1939年文展で「兎」が特選。1943年に召集され満州に渡り、戦後シベリアに抑留され、1947年に復員。1948年次男理樹が生まれ、二男二女の父となる。1960年教職を退き、制作に専念する。捕虜体験を描いた「シベリヤ・シリーズ」が高い評価を得、1969年第一回日本芸術大賞を受賞。70年代に画壇の人気作家となっても、生涯ふるさとの小さな町から離れることはなかった。1974年心筋梗塞で亡くなる。享年62歳。1993年故郷に香月泰男美術館が開館。
香月泰男

いわさきちひろ 1918-1974

福井県武生市(現・越前市)に生まれ、東京で育つ。東京府立第六高等女学校卒。藤原行成流の書を学び、絵は岡田三郎助、中谷泰、丸木俊に師事。1946年日本共産党に入党。1949年、紙芝居『お母さんの話』を出版、翌年文部大臣賞受賞。1950年松本善明と結婚、翌年長男猛を出産。1952年、下石神井(東京・練馬)に自宅兼アトリエを建てる。1956年小学館児童文化賞、1961年産経児童出版文化賞、1973年『ことりのくるひ』(至光社)でボローニャ国際児童図書展グラフィック賞を受賞。1974年肝ガンのため亡くなる。享年55歳。1977年にいわさきちひろ絵本美術館(現ちひろ美術館・東京)、1997年に安曇野ちひろ美術館が開館。
いわさきちひろ

戦争

第二次世界大戦は、ちひろと香月それぞれにとって、大きな転換点でした。
恵まれた境遇で育ったちひろは、終戦後、多くの犠牲を伴ったこの戦争の事実を初めて知り、以後、一番弱い立場の人々に心を寄せて絵を描く決心をします。
香月は、戦後2年間シベリア抑留者として生き、厳しい環境のなかで戦友たちの相次ぐ死に接します。そこで体感した想いを、帰国後、キャンバスに向けます。
ちひろが最後に完成させた絵本『戦火のなかの子どもたち』も、香月が描き続けた「シベリヤ・シリーズ」も、自分の体験と重ねながら、戦争の悲惨さ、平和への想いを強く表しています。
香月泰男 涅槃 1960年

小さきものへのまなざし

ふたりは、身近な草花や小さな生き物をモチーフにしています。香月は「制作のほとんどのモチーフを追憶のなかと、家から二、三分の距離より望見されるものにしか求めていない」とも語っています。廃材を使ってつくられた香月のおもちゃには、ユーモアとあたたかなまなざしが感じられます。
香月泰男 かたつむり 1969年

家族への想い

1933年、満州(現・中国東北部)のハイラルに配属された香月は、終戦を迎えるまでの2年間、家族へ絵葉書を送り続けました。絵に対する想い、そして遠く離れて会うことのかなわない家族への想いが強く表れています。 ちひろのスケッチには、夫や息子、隣に住んでいた姪が登場します。画家として、母として、多忙を極める生活のなかで、ちひろは家族を大切にしながら、絵を描き続けました。
いわさきちひろ チューリップと猫と少女 1960年代半ば

関連イベント

「ちひろと香月泰男」特別対談 野見山暁治×大石芳野

画家の野見山暁治と、写真家の大石芳野がいわさきちひろと香月泰男が生きた時代と芸術について語り合います。
  • 日 時:2012年4月7日(土) 16:00~17:30
  • 会 場:ちひろ美術館・東京 展示室4(多目的展示ホール)
  • 参加費:1000円(入館料別、高校生以下は入館料無料)
  • 定 員:80名(要申し込み、3/7受付開始)

    詳しくはこちらへ

「母の日」特別企画 松本猛ギャラリートーク

いわさきちひろの息子・松本猛が、母の思い出や作品にまつわるエピソード、展示のみどころなどを紹介します。

ギャラリートーク

  • 日 程:3/3(土)・3/17(土)・4/7(土)・4/21(土)・5/5(土)・5/19(土)
  • 時 間:14:00~
  • ※参加自由・無料(入館料のみ)
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