対談 山田洋次×松本春野 映画と絵本の『おとうと』を語る

2010年3月13日(土)

映画「おとうと」から生まれた『絵本おとうと』。作家の松本春野さんは1984年生まれ、今の東京館のある場所で子ども時代を過ごしました(祖母がいわさきちひろ)。世代をこえて二人がどのようなトークを展開するのか、会場は100名余の参加者の熱気であふれました。


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□映画「おとうと」のポスター
:山田監督の映画づくりに興味があって、撮影現場によく遊びに行っていました。映画「おとうと」を撮っていらしたとき、不況でアルバイト先が閉鎖になってしまい、ならば、撮影現場のルポでもしようかと。スケッチをしながら文章を書いて、お持ちしたりしていたんです。

:現場で話題になっていたね。描かれた人たちが非常に喜んで。映画は、最初はイメージポスターというものを作るんです。俳優の写真は使わず、イラストを使うことも多い。誰でいこうかと話していたら、スタッフから、春野さんに描いてもらったらと。ぼくも最初に聞いたときは驚いたんだけど。

:プロデューサーの方から電話でポスターの絵を描いて欲しいといわれ、耳を疑いました。翌日脚本が届いて本当だと。あとで聞いたら、山田さんは“バクチじゃないんだから”とおっしゃっていたとか。その夜は眠れなくて。初めて自分が絵を描くことに責任を感じた仕事でした。

対談後は、もう一人のゲスト、山田洋次監督の映画「おとうと」のポスターを手がけた、松本春野さんをお迎えし、『絵本 おとうと』について紹介いただきました。古くからの会員の方の中には、ちひろの孫である春野さんの子ども時代をご存知の方も多く、会場は笑顔と暖かい拍手に包まれました。

□ぞうりを下駄に -絵本づくり-
:ポスターの絵がきっかけとなり、この子たちを主人公にした絵本を作ることになりました。最初、文章は監督に書いてもらう計画でしたが、編集者とも相談して、私のイメージで「おとうと」を絵本化することを監督に許していただきました。メールで絵を送ってご意見をうかがいながら進めていきました。「男の子のいたずらなんて、こんなもんじゃないよ」と指摘されたり、「草履じゃなく下駄だよ」というアドバイスをいただいたり。

:下駄にすると「音」が聞こえるだろ。鼻緒が切れたり、切れたときどうするか、などと、ストーリーがひろがる。

:映画の人の視点だな、と思いました。締切直前だったので、全部描き直すのは無理と言ったけど、結局描き直しました。

otouto01.jpg :おねえちゃんがヒーローになるこの場面は、下から見上げるように描きなさいと。逆に怒られている子を描くには、見下ろして描くんだよ、と。アングルによって、そんな効果がうまれるとわかって勉強になりました。

「今日、映画を観たばかりだったので、余韻が残っていて一層感動的だった」「春野さん、ユーモアのセンスがたっぷりで良かった」等々、参加者からの感想がよせられました。


松本春野さん: http://www.harunomatsumoto.com

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