昨年10月6日に署名のお願いをホームページ上で呼びかけて以来、5月15日までにeメール署名426名、署名用紙5,883名分が集まりました。「何か自分にできることはないかと考えていたので、ちひろ美術館がこういうアピールを出してくれたことはとても嬉しい」という声がたくさん届き、署名用紙を束で送ってくださった保育団体や学校もありました。ブッシュ米大統領と小泉内閣総理大臣へ届けましたので、ご報告します。



 残念ながら、私たちの願いとは裏腹に、いまだ法の裁きによる解決が図られるのではなく、米英軍による空爆という「対テロ戦争」が行われています。
 「9.11テロ」以来、ブッシュ米大統領は「テロは悪、対テロ戦争は正義の戦い」という立場を鮮明にし、1月29日に行われた一般教書演説では、対テロ戦争は「始まったばかりにすぎない」として、今後も継続、拡大する意図を表明しました。また、イラク、イラン、北朝鮮人民共和国を名指しした「悪の枢軸国」発言では、アメリカが「テロ組織を支援する国家」と見なせば、国際法を無視した先制攻撃も辞さないと明言しています。今回のパレスチナ自治区へのイスラエル軍の侵攻に関しても、ブッシュ米大統領は、テロを行うパレスチナ過激派が逃げ込んでいるとの理由で、難民キャンプを戦車と戦闘ヘリコプターで破壊するシャロン・イスラエル首相を「平和の人」と持ち上げ、イスラエル軍の侵攻を「自衛」の行為として容認する態度をとっています。イスラエルの圧倒的な軍事力のもとで30年以上も占領下に置かれてきたパレスチナ人の実態を考慮せず。



 「対テロ戦争」を錦の御旗に、「新しい戦争」を声高に叫ぶブッシュ米大統領。私たちにとってなにより恐ろしいのは、「二度と戦争をしない」と誓ったはずの日本までが、憲法の枠組みを乗り越えてアメリカの「対テロ戦争」に積極的に協力していこうとしていることです。
今、国会で「有事三法案」が審議されています。その一つ「武力攻撃事態法案」は、日本への攻撃が「発生」したときだけでなく、「おそれ」や「予測」の場合も武力攻撃事態と規定。海外でも自衛隊が武力行使できると定めています。
テロ特別措置法案のもと、自衛隊がインド洋に出向き、出撃する米英軍に給油を実施していますが、もし、この法案が通れば、米軍の始めた戦争に協力して自衛隊が攻撃されたり、その「おそれ」や「攻撃が予測」されると首相が判断しただけで、自衛隊は武力行使、すなわち「戦争ができる」ことになるのです。
 今、私たちが望むのは、地球上のみんなが幸せに生きることのできる世界。圧倒的な武力でテロ組織を押さえ込んでも、テロが生まれる背景にある経済的不平等、貧困、そして絶望を克服する地道な努力なしには、テロの温床をなくすことはできません。武力での解決ではなく、平和的な手段で、貧困や教育の問題に取り組んでいくことこそ、国際社会の中で日本に求められている役割なのではないでしょうか。



 「世界中の子ども みんなに 平和としあわせを」と願いつづけたいわさきちひろ。ちひろの願いは、二度と戦争のない世界。私たちの願いは、未来を生きる子どもたちが、戦争の被害者にも加害者にもならないこと。十分な審議もせず「有事立法」を通して、日本を「戦争のできる国」に変えていこうとしている動きが急激に進んでいる今、緊急アピール「子どもたちを戦火にさらさないで」に加え、新たに 戦争ではなく平和を――「平和のページ」をスタートさせていきたいと思います。  「有事立法」のこと、パレスチナ、アフガニスタンをはじめとした紛争の地に生きる子どもたちのこと、皆様が知っていること、思っていること等々、この「平和のページ」に書き込んで、教えてください。まず知ることからはじめて、このページでいっしょに考えていければ幸いです。そして、一人でも多くの人たちが、この問題に関心を持ち、声をあげてくださることを願っています。

2002年5月15日
ちひろ美術館