「紛争を武力によって解決しない」という憲法9条は、私たちの宝です。
今、この憲法9条を変えて、日本を戦争ができる国に変えようとする動きが急激に進んでいます。子どもや孫を戦争の被害者にも加害者にもさせないためにも、世界の人たちが、戦争ではなく話し合いで平和を作っていく世の中に変えていくためにも、みなさんと手を取り合って、憲法9条の素晴らしさを世界に伝え、守り、育てていけたらと願っています。

 イラクのファルージャでは、「動くものはみな撃つ」という掃討作戦が行われています。市内にはまだ、たくさんの民間人がいるといわれているのに。米軍が最初に爆撃・占拠したのが病院だと聞いています。水もなく、電気もなく、治療を受けることもできずに傷つき、死んでいく子どもたち。いつも最初に犠牲になるのは、何の罪ない子どもたちです。

 いわさきちひろは、「戦場にいかなくても戦火のなかで子どもたちがどうしているのか、どうなってしまうのかよくわかるのです。子どもは、そのあどけない瞳やくちびるまでが、世界じゅうみんなおんなじだから」という言葉を残しています。

 ちひろの死後3年目に開館したちひろ美術館は、ちひろの絵を保存・公開するだけではなく、ちひろの心も伝える場でありたいと思っています。ちひろが願いつづけたのは、「世界中の子どもみんなに平和と幸せを」でした。

 戦争は二度としない、国際紛争を武力で解決しない、そのために軍隊を持たないという日本国憲法は、未来を照らす光であり、アジア2000万人、日本310万人の犠牲の上に、戦後、日本が国際社会に復帰して生きていくための原点でもありました。もし憲法前文と憲法9条がなかったら、朝鮮戦争のときも、ベトナム戦争のときも、湾岸戦争のときも、日本の軍隊が他国の人に直接銃を向けたり、戦闘行為に参加する事態が起こったかもしれません。なのに今、自衛隊は武器を持ってイラクに派兵されています。憲法に反しているなら、憲法自体を変えればいいではないかというような、乱暴な意見が大手を振ってまかり通ろうとしています。

 このような、平和憲法を書き換えようとする動きが進む中、6月10日に9人の文化人が呼びかけ人となり、「憲法九条の会」が発足、「九条の会アピール」が公表されました。 そして会の輪は、今、全国に広がっています。
ちひろ美術館も「憲法9条の会」に賛同しています。そして、今回「ちひろ憲法しおり」を作成、公開することにしました。憲法9条の大切さを、そして、未来に生きる子どもたちの幸せを、一緒に考えていただくきっかけづくりとなることを願っています。