花が大好きだったちひろは、庭にもたくさんの草花を育て、日々の手入れにも余念がありませんでした。アトリエの本棚には、『植物の図鑑』『野の花・山の花』といった花に関する本のほか、「花と緑のある日々」を特集した雑誌なども残されています。
身近な花は、子どもの姿と自在に組み合わされて、絵のなかにも登場しています。画面を彩るチューリップ、スイートピー、フリージアはどれも、ちひろが好んで描いた春の花です。画面横から花が伸びてくる独特の構図は、1962年頃から顕著に用いられるようになりました。春のやわらかな陽だまりのなかで本を読む少女は、ちひろの姿と重なるようです。