歯を磨いて、顔を洗って、タオルでふいて……。男の子の三つの動きが、ひとつの画面に描かれています。自分の身の回りのことができるようになった幼い子どもの生活をテーマにした絵本『ひとりでできるよ』の一場面です。この絵本は、1956年に創刊された月刊絵本「こどものとも」(福音館書店)の12号として、1957年3月に出版され、ちひろの最初の絵本となりました。主人公の男の子に、当時幼稚園に通っていた息子の姿を重ねながら、愛らしい仕草の一つひとつを丁寧に描き出しています。母親の視点から描かれた絵は評判を呼び、同じ年に2作目の絵本『みんなでしようよ』も出版されました。