女学校のころよりスキーに親しんでいたちひろは、スキーをする子どもたちの姿をいくつもの作品に残しました。この絵はカレンダーのために描かれたもので、雪の斜面をスキーで滑走する少年の姿が躍動的にとらえられています。白い雪原を描くのに、水彩のにじみを生かす「たらしこみ」の技法を用いて、白や青、グレーや薄紫といった色を複雑ににじませ、雪の質感や冷たさを表現しています。筆を振って白い絵の具を飛び散らせるようにして描いた雪煙が、画面にいっそうのスピード感を与えています。雪の寒色系の色調と、少年の帽子と服の鮮やかな赤と黒とが、美しい色の対比をみせる作品です。