勢いのあるパステルの筆致によって、最小限の線だけで、すばやく少女の姿をとらえています。この時期に描いたパステル作品に、やはり正面を向いた少年を描 いたものがありますが、顔の輪郭、目と鼻と口の位置、目の大きさや口の線の微妙な曲がり具合までもが、この少女の絵とぴったりと重なりあいます。細かい描 写をそぎ落とし、簡略化していくうちに、理想とする子どもの顔のバランスができあがったのでしょう。迷いのない、のびやかな線からは、自分の頭のなかにあ る確固としたイメージを、ほとんど狂いなく伝えることができた、画家の確かな手が感じられます。