ちひろの絵では、地面を意識させることはほとんどありませんが、雨の日は例外です。ぬれた道路や水たまりは水鏡となって、子どもたちの長靴や傘などまわり の色を淡く映し出しています。「水彩って、ものすごく質のいいものなのよ。水に溶けるものなのよ」と語り、透明水彩を愛用していたちひろにとって、雨の日 の水に潤んだ情景は、水彩の特性を生かせる格好のテーマだったにちがいありません。黄色い傘を、角度や大きさを変えてリズミカルに配置し、雨の日ならでは の遊びに興じる子どもたちの姿を生き生きととらえています。傘をまわし、水しぶきをあげる歓声までが聞こえてきそうです。