風船のひもをしっかりにぎり、やわらかな髪を風になびかせて、少年は空高く上っていきます。頬を染め、口元に微笑を浮かべた彼の表情から、何事からも自由 でいることへの誇らしさが感じられます。この絵は、絵本『あかいふうせん』の最後の場面です。少年と風船の心の交流を描いたこの絵本は、同名のフランス映 画をもとに作られました。映画と同様に、少年がグレーの服を着ていることで、風船の鮮やかな色彩が際立って見えます。しかし、映画とは異なり、ちひろはこ の少年に黄色い靴下を履かせています。その色は、画面右上と中央にある黄色い風船と照応し、画面に軽やかなリズムを生み出しています。