神への信仰も恩人への恩も忘れ、赤い靴に心を奪われてしまった少女カーレンが、最後は足を切り落とすまで踊り続けるというアンデルセン原作の物語「赤い靴」。1968年に手がけた絵本『あかいくつ』で、ちひろは、画面の外への広がりを感じさせる構図を多く用いました。

靴が脱げなくなり、踊りながら街へと出ていく場面では、青い背景のなかに、画面上部から登場し、中央で回転しながら、下へと通り抜けていく3体のカーレンの姿を描いています。1枚の絵のなかに、時間と動きを取り入れることで、悲しくも美しい少女のダンスを、映画のワンシーンのように展開させています。