白いワンピースに、切りそろえられたおかっぱ頭、真新しい赤のランドセル……。入学したばかりでしょうか、男の子の声に、ふと立ち止まる少女の姿が描かれています。

9450点ものちひろの作品が遺されていることを知り、『窓ぎわのトットちゃん』の執筆を決意した黒柳徹子は、トモエ学園に初登校する日のエピソードに、この作品を選びました。背景に使われた黄色いにじみからは、春の陽光のあたたかさとともに、期待と喜び、不安で小さな胸をいっぱいにする、みずみずしい子どもの心までもが感じられます。