一月のカレンダーを飾った絵で、右上から左下に「あまつ風 雲のかよひじ ふきとぢよ をとめのすがた しばしとどめん」の歌が書き込まれています。少女の愛らしい姿をとどめておきたいという思いを、この歌に重ねたのでしょう。また「あひ見ての のちのこころに くらぶれば むかしはものを おもはざりけり」の、上の句の一部があまつ風の歌の下に、下の句が画面左上に読み取れます。ちひろは18歳より藤原行成流の和仮名を習い、師の代稽古を務めるほどの腕前でした。流麗な筆運び、線や形の美しさ、絵と文字との絶妙なバランスにみる余白の扱いなど、書で培われた美意識が生かされています。