青いつば広の帽子を持って、遠くをみつめる少女。流麗な鉛筆の線で描かれた髪やワンピースは後方になびき、初夏のさわやかな風を受けて立っているようです。この作品は、黒柳徹子とちひろ美術館初代館長・飯沢匡(ただす)がちひろの人生を調査し、執筆した共著『つば広の帽子をかぶって』の表紙に使われた絵です。黒柳は、「あの可愛らしい絵は、実は、たくさんの悲しみ苦しみ、修羅場があったからこそ、ちひろさんが描かずにはいられなかった世界なのではないか」と語っています。ちひろの好きだった帽子を手にして、もの思うようなまなざしを見せるこの少女は、ちひろ自身の姿にも重なって見えます。