1966年4月7日、ヨーロッパをめぐる旅行のなかで、ちひろは中世の街並みを残すスペイン・トレドを訪れました。古い石造りの建物や装飾の施されたバルコニー、細く曲がりくねった石畳の道……。この作品は、「街全体が博物館」と称され、世界遺産(1986年)にも登録された歴史ある街トレドの一角をスケッチしたものです。ちひろは、家族への手紙に、「こんなに素晴らしいところは、いままでみたこともありません」と記しています。気負いのない流麗な線で描かれたスケッチからは、古都トレドに息づく現代の人々の暮らしに触れたちひろの感動が伝わってくるようです。