花の部分のみが描かれたバラの陰から、こちらをのぞく男の子と女の子。子どもたちが身につけたシャツや帽子の色は、それぞれ黄色とピンクのバラの色に呼応 しています。ちひろは、花びらの折り重なる影の部分にはオレンジをさし、明るい部分は透明感に溢れた薄い黄色で捉えるなど、全体に淡く澄んだ色調を用い て、花や子どもたちに映る柔らかな陽射しまでを、印象的に描き出しています。バラはちひろが生涯最も多く描いた花のひとつ。自然の光の中で輝く花びらは、 端瑞しい生命力に満ちており、画面から、甘く優しい香りが漂ってくるようです。