一房のぶどうを持つ少女。夏を謳歌した名残でしょうか、肌は小麦色で描かれています。ぶどうの芯をそっとつまんでいる指先はほんのりピンクに染まり、少女のあたたかな体温が感じられます。

ちひろの描く子どもは、愛らしい顔やつぶらな瞳が印象的ですが、手の表現も隠れた魅力のひとつです。ちひろのアトリエの画机には、いつも鏡が置かれていて、制作中に自分の手を映し、デッサンを確かめることもありました。

手の大きさや形からは、少し大人びてきた少女の年齢がうかがえるとともに、ぶどうを慈しむように持つ手のしぐさからは、少女の心情までもが伝わってくるようです。