ひなげしの薄い花びらが重なり合い、燃えるように鮮やかな朱色や赤の色の層をつくりだしています。その花びらを透かして、左側にはガーベラの茎が縦に伸びているのが見えます。色を重ねたときに、下の色が透けて見える透明水彩の特性を存分に生かした表現で、ひなげしの花びらの薄さがいっそう際立ちます。花が透けているのは、背後から光が差し込んでくるからでしょう。ちひろは窓辺にひなげしの花を飾り、花にふりそそぐ光の表情をながめていたのかもしれません。薄い花びらの質感に加えて、ところどころに鉛筆で花のシベを描き込むことで、ひなげしの花らしさをリアルに表現しています。