「たろうとはなこ」は、小学一年生の社会科の副読本です。ちひろは絵本をつくるときのようにこの本の編集に深く関わり、全場面に絵を描きました。当初は『となりにきたこ』のようなパステル画にすることも検討されましたが、教材には細かな描写も必要になるため、鉛筆と水彩の仕事となりました。どんな格好をした子どもも自在に描き出すことができたちひろは、一年生の学校や家庭での日常を、自然な姿で描き出しています。勢いよく駆け出す子どもたちを描いたこの場面では、まるでスケッチのように素早くひかれた、軽快で流れるような鉛筆線で、子どものいきいきとした躍動感を伝えています。