夏の強い陽ざしを受けて、舞い上がるしゃぼん玉。虹色のしゃぼん玉を見つめる少女の姿に、ちひろは、子どものころの自分を重ね合わせているのかもしれません。幼いころ一番好きだった洋服の思い出をこう語っています。「白いボイルの地に白いレースがついていた。ベルトは繻子(しゅす)織(お)りのももいろのリボンで、うしろでむすぶようになっていた。・・・この洋服は・・・私をどんなにしあわせにしてくれたことか」
やがて戦争が始まり、周囲から色彩が失われていった娘時代、ちひろの胸中では、平和だった少女時代の思い出が、かがやきを増し、終生消えることのない美しい夢となったのではないでしょうか。