秋の深まりとともに色づく柿の実は、高く澄んだ青空に美しく映えます。かつてちひろがくらした家の庭先でも柿の木が秋をいろどりました。ちひろは柿の枝の造形に心を惹かれたのでしょう。すばやい筆致で複雑な枝ぶりをとらえています。枝いっぱいになった柿の実は水彩のにじみを使って鮮やかな朱色で、画面のアクセントとなる葉は深い緑で描かれています。この絵では、柿の描写に焦点をあて、少女は余白に溶け込むように描かれています。余白に重ねて、少女の心いっぱいに広がる秋の情景を想像することができます。