美術館だより

ちひろ美術館では、作品の画像とともに紹介する展覧会の見どころや、活動報告、また、講演会やコンサートなどのイベントのご案内等さまざまな情報をお伝えする「ちひろ美術館だより」(年4回 A4冊子・6ページ)を、東京館、安曇野館にてそれぞれ発行しております。
各発行No.をクリックするとPDF形式でダウンロードできます。ぜひご覧ください。

東京館

No.197 2017.5.2
【表紙の作品】
いわさきちひろ 帽子の少女 1970年

ちひろは、1970年に絵本『となりにきたこ』(至光社)を全場面パステルだけで描きました。この年に集中して、パステルを線描に使った少女像を描いています。器用であるがゆえに、絵が小さくまとまってしまうことを悩みとしていたちひろは、パステルの荒く太い線に力を得て、新たな表現を試みます。手首を画面から離した大きなストロークで、動きを拾ったパステルの線は、ちひろの絵にのびやかな動きと広がりをもたらしています。この絵では、少女の髪を動きのある線でとらえ、いきいきとした表情を生んでいます。細かな描写を大胆に削ってうまれた余白は、夏の強い陽ざしを想起させます。

安曇野館

No.90 2017.5.2
【表紙の作品】
いわさきちひろ 「垣根ごしにのぞく子ども」 1970年

主人公の少女と隣に越してきた少年が友だちになるまでの心の機微を描いた絵本『となりにきたこ』の一場面。「となりにきたこどんなこ、となりにいるこどんなこ」のことばとともに、ちひろは二人の期待と不安の入り混じった心情を、のぞく仕草で語らせています。後ろ姿で少女の表情は見えませんが、開いた指先からは緊張した心持が伝わってきます。垣根は大胆なストロークで抽象的に描かれ、間からのぞき返す少年の顔をより強く印象づけています。この絵本には、ちひろの隣家の男の子との幼い日の思い出が投影されているようです。オリーブグリーンの輪郭線は、パステル作品の特徴のひとつです。

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