
ちひろ美術館は、絵本を美術表現のひとつのジャンルと考えています。
絵本の歴史をひもとくと、子どもの本としての絵本の登場はヨーロッパでも日本でも17世紀中頃からと考えられます。今日的なスタイルの子どもの絵本という意味では、19世紀後半のイギリスの絵本を起点とする考え方が一般的です。
ところが、絵と言葉を融合させた絵本的表現は人類の最も古くから見られる美術のひとつでもあるのです。
紀元前15世紀頃にはすでに制作されていた『死者の書』は、パピルスに絵と文字を記した死後の世界への案内書です。これは、巻物形式ですが、絵本の最も原初的なスタイルといえます。
このような絵と文字で歴史や神話や物語をあらわした書物はヨーロッパの時祷書(じとうしょ)やイスラム文化圏のミニアチュール、中国の画巻(がかん)、マヤ文明のコディセなど世界中のさまざまな文化圏からも発見することができます。日本でいえば、12世紀頃から普及した絵巻物は巻物形式の絵本といえます。その表現はその後、奈良絵本を生み、江戸期にいたって赤本や青本、黒本などの絵草子等さまざまな種類の絵本に引き継がれていきました。
ちひろ美術館では、古代エジプトから20世紀半ばまでの絵本とイラストレーションの歴史を伝えるオリジナル作品、復刻資料、複製資料を収集・保存・展示しています。