<企画展>あべ弘士の動物王国展

会 期 2016年5月14日(土)~7月11日(月)
場 所 展示室4・多目的ギャラリー
行動展示*の先駆けとして注目を集める旭山動物園(北海道旭川市)で、25年間、飼育員を勤めた異色の経歴を持つ絵本画家・あべ弘士。本展では、「旭山動物園」「アフリカ」「北極」をテーマに、新旧の作品を多数紹介し、ユーモアのなかにいのちの営みを映し出す創作の根源に迫ります。
*行動展示―動物の特有の“行動”や“生活”を見せる展示

旭山動物園

幼少期より絵が好きだったあべは、独学で画家を目指しますが、夫人との出会いを機に、23歳で旭山動物園の飼育員として働き始めます。兎やカワウソから、熊、象、キリンまで、さまざまな動物を担当したあべは、「それまでの自分の興味とかいろんなものが全部ふっとんでしまうぐらい、ものすごくおもしろい仕事だった」と語り、背中に「動物命」と書いてあるかのごとく没頭していきます。
タウン紙や園の機関誌の仕事をきかっけに、再び絵筆を取り始めたあべは、1981年、『旭山動物園日誌』で絵本画家としてデビューします。鋭い爪と眼光のクマタカや、係員の奮闘に抗うシカなど、この時代は、ペンやコンテ、鉛筆などの画材を多用し、緻密な線描を重ねて、それぞれの動物特有の姿態を丁寧に表現しています。
「骨格や筋肉のつき方、毛の流れなんかも、自然と正しく描いている。嫌というほど触ってきたから、体で覚えてる」と語るように、実体験を礎とした本書には、画家がとらえた動物の姿がリアルに描き出されています。
クマタカ 『旭山動物園日誌』(出版工房ミル)より 1981年 シカの角きり 『旭山動物園日誌』(出版工房ミル)より 1981年

アフリカ

1996年、動物園を退職したあべは、野生動物を見るため、世界各地を旅するようになります。1998年からは、毎年のようにアフリカを訪れています。『ライオンのよいいちにち』には、サバンナの壮大な景色と、散歩するライオンの親子が鮮やかな色彩で描かれています。細かな描写を避け、最小限の筆数による太く勢いのある筆致で描いた作品には、雄大なアフリカの大地とライオンという動物の存在そのものが映し出されています。
水蒸気から雲が生まれ、雨となって再び大地に戻る、動物たちが食物連鎖を繰り返し、その屍が養分となり大地を豊かにする……、アフリカの地に立ち、あべは「生命はぐるぐるまわっている」と感じたと語っています。自身が感銘した生命の循環を、大胆に省略した表現のなかに凝縮した一作となっています。
『ライオンのよいいちにち』(佼成出版社)より 2001年

北極

2011年、あべは仲間とともに、北極圏のスバールバル諸島(ノルウェー)を訪れ、約4週間滞在しました。“約束の地”を目指すカオジロガンの群を描いた『新世界へ』もこの旅の体験から生まれた絵本です。横長の版形を使い、ガンたちの白いシルエットと、海にそびえ立つ岩山を描いた作品は、北極で見た約60万羽のウミガラスが集まる大岸壁をもとに描かれました。 北極は「氷と岩しかない不毛な地」とのイメージを覆し、豊かな生態系が営まれる豊穣な土地であると知ったときの感動が、新世界を目指す鳥たちの旅を通して伝わってきます。
『新世界へ』(偕成社)より 2014年
「動物たちとの毎日は、今考えてみると、絵を描くことにとって遠回りのようで、実は近道だったのかもしれない。(中略)難しいのは、なにを描くかの“心”で、私はその心を動物や自然から教わった」と語る画家。種を越え、真摯に動物と対峙してきたあべ弘士の世界は、見るものに生きることの意味を投げかけてきます。
あべ弘士 1948~
あべ弘士肖像
北海道旭川市に生まれる。
1972年から25年間、旭山動物園の飼育係として勤務。
1981年『旭山動物園日誌』で絵本画家としてデビュー。
1995年『あらしのよるに』で講談社出版文化賞絵本賞、
1999年『ゴリラにっき』で小学館児童出版文化賞、
2000年『ハリネズミのプルプル』シリーズで赤い鳥さし絵賞など受賞多数

展示品数 約100点

関連イベント

あべ弘士によるワークショップ「キリンをつくろう!」

ダンボールを使って色を塗ったり、紙や糸を貼ったり……、
世界にひとつだけの「キリン」をつくります。

あべ弘士ギャラリートーク

画家本人が自身の作品について語ります。

ギャラリートーク

展示室で作品を見ながら、担当学芸員が展示のみどころなどをお話しします。

  • 日 程:5/28(土)・6/11(土)・6/25(土)・7/9(土)
  • 時 間:14:30~15:00
  • 申 込:参加自由(事前申込不要)
  • 料 金:無料(入館料別)
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