ちひろ美術館コレクション 花の博覧会

会 期 2016年3月1日(火)~5月10日(火)
場 所 展示室3、4
可憐で美しい花は、古くから画家たちを魅了し、季節を彩るものとして、ときに輝くいのちの象徴として、様々な形で絵のなかに描かれてきました。本展では、コレクションから「花」をテーマに、世界の絵本画家たちの作品を紹介します。

花をめぐる物語

瀬川康男の絵本『だれかがよんだ』の冒頭、犬の主人公「おび」を呼ぶ声の主は、オオイヌノフグリの花です。1977年より北軽井沢に移り住んだ瀬川は、山野の草花や虫のスケッチに没頭します。ルーペを使って構造の細部まで観察し細密な写生を繰り返すなかで、自然が創造したものの美しさに魅了されたといいます。小さな一輪の花の描写にも、自然への深い畏敬の念が感じられます。
瀬川康男『だれかがよんだ』(福音館書店)より 1990年
アンデルセン原作の「おやゆびひめ」は、誰もが知る花をめぐる物語です。スロヴァキアのヤナ・キセロヴァー・シテコヴァーは、布にテンペラとインクで描く独特の手法で、花びらの薄くやわらかな質感とともに、蕊(しべ)や花の国の人びとの衣装の模様までも繊細な筆致で描き出しました。緻密な描写は、架空の物語にリアリティーを与えています。
ヤナ・キセロヴァー・シテコヴァー『おやゆびひめ』より2001年

輝くいのちの花

田島征三の『ふきまんぶく』は、幼い女の子ふきちゃんと、蕗との不思議な交流を描いた絵本です。自給自足をめざして東京都西多摩郡日の出村(現町)で営農生活を始めた3年目に描かれました。「ふきまんぶく」とは蕗の丸い花“ふきのとう”の村での呼び名です。早春、土から顔をのぞかせた萌黄色のつぼみを見つけ、喜びの声をあげるふきちゃん。少女の感動は、日々土やいのちと向き合う田島の実感であり、泥絵の具の重厚なマチエールからは土の匂いまでもが伝わってくるようです。
田島征三『ふきまんぶく』(偕成社)より1973年
スーダンのセイフ・エディーン・ロウタは、動物たちの背景に、湖面の縁を覆い尽くすように繁茂する草花を描いています。鮮やかで光沢のある強烈な色彩は、アフリカの強い太陽の光とともに、大地に生きる動植物のエネルギーに満ちた生命力を感じさせます。
セイフ・フセイン・ロウタ『ゲーム』より 1984年

独創的な花

実際の花の姿にとらわれず、画家のイマジネーションが生み出した独創的な花もあります。スロヴァキアのローベルト・ブルンの作品では、楽器を手に宙を舞う虫の真下に、赤い花のようなものが描かれています。楕円や球体といった曲面による形と、鋭角にとがった形を組み合わせた造形は、幾何学的であるにも関わらず有機的で、頭上の虫を狙う奇妙な食虫植物のようにも見えます。
ローベルト・ブルン『教父コオロギのおとぎ話』より 1979年
アルゼンチンのクラウディア・レニャッツィは、素材を張り付けるコラージュの技法で、ユニークな絵本制作を行っています。植物の葉には気泡緩衝材や糸を使い、ピンクの花の茎には段ボールの凹凸を活かしています。
国や地域が変われば自然や植生も異なります。画家の個性によっても多様な表現が生まれ、描かれた花の姿は千差万別です。世界の絵本画家たちによる花の博覧会をご覧ください。
クラウディア・レニャッツィ『わたしの家』より 2001年

展示品数 約100点

関連イベント

ギャラリートーク

展示室で作品を見ながら、担当学芸員が展示のみどころなどをお話します。

  • 日  程:3/12(土)・3/26(土)・4/9(土)・4/23(土)
  • 時  間:14:30~15:00
  • 申  込:参加自由(事前申込不要)
  • 料  金:無料(入館料別)

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