ちひろ ―その心、花にたくして

会 期 2016年3月1日(火)~5月10日(火)
場 所 展示室1

花とともに

終戦の翌年、疎開先の長野県松本から画家を志して上京したいわさきちひろは、東京神田の叔母の家に身を寄せて、「人民新聞」の記者として働き始めます。
戦後の混乱期に復興をめざして懸命に生きる市井の人々の姿をカットや記事に描き、丸木位里・俊夫妻が主催するデッサン会に学んでいました。翌1947年には前衛美術会の創立に参加、日本美術会、日本童画会の一員になったのもこのころです。
「丸い壺にいけた花」は、ちひろが時代の波にもまれながら画家として成長したいと模索していた当時の作品です。つましい生活のなかでも未来を見つめて生きるちひろの身近にいつも花があったことを、このスケッチが語っています。
結婚して子どもが生まれ、ようやく念願の家を持ったのは1952年のことです。以来、ちひろは庭仕事にも勤しむようになります。
近くの農家からリヤカーで売りにくる花の苗や切花を購入したり、季節ごとに花壇の花を植えかえるなど、絵の制作の合間に庭の手入れを楽しみながら、絵のイメージを膨らませていたのかもしれません。「あまやどり」「はなぐるま」「春の庭」のように、四季折々に庭を彩る花々が、頻繁に作品に描かれるようになっていきます。

あまやどり 1958年 はなぐるま 1967年 春の庭 1969年
1966年に長野県の黒姫高原に山荘を兼ねたアトリエを建てたちひろは、日常の雑事に追われることなく絵に集中できる黒姫での生活を大切にしていました。
花バサミを手に山野を散策したり、摘んできた草花を部屋中に飾ったこともありました。絵本『花の童話集』や『あかまんまとうげ』には、ちひろが愛した黒姫の自然が深く息づいています。
自宅のアトリエにもドライフラワーや鉢植えを置き、語りかけるように花を見つめるちひろの姿がありました。

花を描く

ちひろの描いた花々は、それぞれの花の特徴や雰囲気が的確にとらえています。
「ダリア」では、燃え立つようにうねる花弁が、ダリアの花を情熱的で存在感あるものにしています。
「夏の草むら」では、太い筆を大胆に動かして描いた夏草に生命感あふれる草いきれが感じられるようです。『たけくらべ』に描いた「水仙」は、運命を受け入れて強く生きると決意した少女の凛とした心を映したような気高さを湛えています。
ダリア 1950年代中頃 夏の草むら 1973年 水仙 『たけくらべ』(童心社)より 1971年

花と子ども

ちひろが最も多く描いた花はバラでした。自宅の庭にもバラ棚があり、黄色とピンクの大輪のバラと、四季咲きの白と真紅のツルバラが咲いていました。
「バラにかくれる子ども」では、子どものふっくらとした柔らかな肌の感触や楽しげな心持ちが、やさしい色合いのバラの花に呼応するようです。子どもと花の大きさの対比は現実にはないものですが、花びらのリアルな質感と大きな花を右上から流れるように配置した構図の工夫で違和感なく見せています。子どもの心情を花の色や構図に重ねたような表現は、ちひろが描いた「花と子ども」の特徴のひとつとなっています。
本展では、このほかアンデルセンや宮沢賢治の世界にも通じる花の妖精たちが登場する絵本や、花のスケッチやカットなど、ちひろが描いた花々を一堂に展示し、繰り返し描き続けた「花」に込めたちひろの心を見つめます。
バラにかくれる子ども 1972年

展示品数 約150点(スケッチ、カットのケース展示を含む)

関連イベント

ギャラリートーク&ワークショップ 花を楽しむ

「ちひろ -その心、花にたくして」展に関連し、花を楽しむワークショップを開催します。
学芸員によるギャラリートークの後、ドライフラワーを使った「植物のモビール」づくりをします。

  • 日  程:4/16(土)
  • 時  間:13:00~15:00
  • 料  金:2,000円(入館料込み)
  • 申  込:要事前予約
  • 講  師:kokageya 荒良木つつじ
  • 定  員:20名
  • お申し込みはこちら



【期間限定】ドレスコード特典 1ドリンクプレゼント

会期中「花」をモチーフにしたファッションでご来館の方には、
カフェにて1ドリンクプレゼント! (GW期間4/29~5/8は除く)




ギャラリートーク

展示室で作品を見ながら、担当学芸員が展示のみどころなどをお話しします。

  • 日  程:3/12(土)・3/26(土)・4/9(土)・4/23(土)
  • 時  間:14:00~14:30
  • 申  込:参加自由(事前申込不要)
  • 料  金:無料(入館料別)

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