ちひろ美術館コレクション 10人の絵本画家 10の絵本づくり

期 間 2015年9月26日(土)~11月30日(月)
場 所 展示室3

ユーリー・ノルシュテイン&フランチェスカ・ヤールブソワ

映画監督のノルシュテインと彼の妻であり美術監督のフランチェスカが手がけた絵本は、アニメーションとして発表した作品をもとに制作されました。彼は「絵本の空間は、読者が絵を目で追っていく。それが時間を生み出し空間を生み出す」と語り、人が頁を繰ることによって生まれる時間の重なりを絵本の本質と捉えました。『きつねとうさぎ』は、うさぎがきつねに奪われた家を取り戻そうと奮闘するロシア民話。場面ごとに変化する背景はうさぎの感情の変化や季節変化、時間の経過を表現しています。

展示画像 『きつねとうさぎ』より 2003年 (ロシア)

武田美穂

武田の絵本は、漫画を思わせるコマ割りが特徴のひとつです。武田は、映画監督の父親の影響で幼いころから絵コンテを見ていたことで、場面割りやアングルの知識が自然と身に付いたといいます。
雨の夜、迷子になった少女の物語『ますだくんとまいごのみほちゃん』では、頁ごとにコマ割りの数や大きさを巧みに使い分け、少女の心の機微をあらわしています。少女が道に迷う場面では、徐々に不安を大きくする少女のようす、知らない街が「おばけのまち」へと変化するようすを、小さく区切ったコマで細やかに捉え、少女の心の動きを繊細に描き出しました。

展示画像 『ますだくんとまいごのみほちゃん』より 1997年

赤羽末吉

赤羽は絵本づくりについて「主題を生かそうと努力していると、一つの考えが生まれ、それにともなって適切な型が生まれる」と語り、それぞれの物語を深く読み込んで描き方や画材を使い分け、視覚的なドラマを追求し続けた画家でした。 1976年の『ほしになったりゅうのきば』は、勇敢な少年が竜に裂かれた天を縫いに行くという中国の民話で、水墨画風の絵でつくり上げた1963年の旧版を、“壮大華麗な大ロマン”という解釈で描きなおしたもの。画家は、複数のダミーを使って全体の構成を検討し、山場である仙人境の場面を、あえて色を抑えた白描で描くことによって前後の華麗な彩色を施した場面との違い明確化し、仙人の住む不思議な世界を印象的にあらわしました。

展示画像 『ほしになったりゅうのきば』より 1975-76年
本展では、ほかにエリック・カール、長新太、クヴィエタ・パツォウスカー、谷内こうた、西村繁男、エリック・バトゥー、ヤナ・キセロヴァーを加えた10人の絵本画家を選び、十人十色の絵本づくりを紹介します。

展示品数

約60点
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