<企画展>『はしれ、トト!』
조은영(チョ・ウンヨン)の絵本づくり展

期 間 2015年9月26日(土)~11月30日(月)
場 所 展示室3・4
後 援 (一社)日本国際児童図書評議会
韓国の女性画家チョ・ウンヨンの絵本『はしれ、トト!』にフォーカスした展示を開催します。
この本は、おじいさんと競馬場に初めて行く馬好きな女の子の一日を描いたチョのデビュー作です。絵本の制作を開始したのが2004年、本が出版されたのが2010年、途中に休みをはさみつつも実に約6年の歳月をかけ、2011年に、ブラティスラヴァ世界絵本原画展でグランプリを受賞し、日本では翻訳版が日本絵本賞を受賞しています。
本展では完成された絵本を見ただけでは分からない、さまざまな試行錯誤の積み重ねが結晶した1冊の魅力を、絵本の形から離れて紹介します。
チョ・ウンヨン『はしれ、トト!』(文化出版局)より

おじさんたち+馬=競馬場?

従来の絵本の既成概念にとらわれず、自分のスタイルで絵本を描きたいと考えていたチョは、大学の授業で初めて訪れた競馬場のことが忘れられず、競馬場を題材にした絵本制作を2004年に企画しました。競馬がある週末ごとに競馬場に足を運び、望遠レンズを用いて撮った多数の写真を参考に、さまざまな表情や状況の人物を描きます。チョの鋭い目と容赦ない描写で捉えた、実物以上にグロテスクな「おじさんたち」には、感情や性格まで滲み出てくるようで迫力や味わいがあります。セリフは無いものの、彼らは競馬場の名脇役です。
絵本には馬も、もちろん登場します。チョの描く馬たちには、それぞれどこか人間のような個性が感じられます。

おじさんたち

アクリル、木炭、墨……

『はしれ、トト!』で、チョは自由にいくつもの技法やスタイルを混ぜて表現しており、競馬場の雰囲気やレースのようすが躍動感をもって伝わってきます。馬を表すのに、紙に墨一色でシンプルに描いたり、クラフト紙に木炭と白いコンテで描いたり、ときには、いくつもの絵を重ねて一つの場面を構成したりしています。
この迫力のある、レースの場面は、馬や騎手を個々にOHPで使う透明フィルムの上に描き、それらをスキャニングして合成し、更に墨を歯ブラシやストローで吹いたもので弾ける砂を表現し、スピード感や緊張感が出ています。
いくつもの技法での表現

スケッチ×ストーリーボード×ストーリー

チョは、絵本を組み立てるために、ストーリーボード(絵コンテ)を元にまず、いくつものスケッチを作成しました。人々が競馬場に行き、帰るまでの状況や、競馬賭博のイメージなどを自由に描いた後、それらを縮小して壁に並べて貼り、取捨選択してストーリーを考えていったといいます。その後文章を書き、ストーリーボードを数度書き直して最終的な構成ができあがりました。
1冊の絵本の背景にある膨大な写真、スケッチ、習作、ダミー、資料……。34歳で二児の母であるチョの小柄な体の一体どこに、これだけのパワー秘められているのかと思うほど、その作品は見る者を圧倒します。今後の活躍が期待されるチョの描く世界をお楽しみください。 
チョの描いたイメージスケッチ

展示品数

約80点
本展は2016年春にちひろ美術館・東京へ巡回します。

関連イベント

特別版おはなしの会 チョ・ウンヨンと絵本を楽しもう

チョ本人による『はしれ、トト!』の読み聞かせや、本作の翻訳者・広松由希子氏による翻訳版の舞台裏も紹介します。

  • 日時:10/10(土)・10/11(日) 各日11:00~12:00
  • 申込:参加自由(事前申込不要)
  • 料金:無料(入館料別)

ギャラリートーク チョ・ウンヨン 自作を語る

展示室で作品を前に、チョ・ウンヨンが『はしれ、トト!』をつくった背景を語ります(通訳付き)。
  • 日時:10/10(土)14:30~15:30
  • 申込:参加自由(事前申込不要)
  • 料金:無料(入館料別)

チョ・ウンヨンによるワークショップ

チョ・ウンヨンから絵本につくり方についての話を聞き、絵本に使われた技法を体験しながら、自分の作品を制作します。どなたでもお楽しみいただけるワークショップです。
  • 日時:10/11(日)13:00~15:00(予定)
  • 料金:500円(入館料別)
  • 定員:30名
  • お申込みはこちら

ギャラリートーク

展示室で作品を見ながら、担当学芸員が展示のみどころなどをお話しします。
  • 日程:9/26(土)・10/10(土)・10/24(土)・11/14(土)・11/28(土)
  • 時間:14:30~15:00
  • 申込:参加自由(事前申込不要)
  • 料金:無料(入館料別)
前のページへ