ちひろ美術館コレクション
絵本に耳をかたむけて

期 間 2014年9月19日(金)~11月30日(日)
場 所 展示室3
目には見えず、留めておけない“音”を、画家たちは豊かな表現で絵本に響かせています。本展では、“音”に焦点を当て、「音楽」、「声」、「自然のなかの音」の3つのテーマから作品を紹介します。

音楽

私たちは「音楽」を通して、喜びや悲しみ、愛情などさまざまな感情を表してきました。
ユゼフ・ヴィルコンは、黒人の抑圧された生活の苦悩や絶望を歌ったブルースを、彼らの起源であるアフリカに生息する象に演奏させました。低音で深い響きが特徴の管楽器・チューバからは、ポーランド語で「象牙のために殺すことのブルース」という言葉が奏でられています。「金色は、教会や寺院に使われる神秘的な色」と語る画家は、背景を金色に彩り、命を落とした象の仲間への哀悼の音楽を響かせています。
ユゼフ・ヴィルコン(ポーランド) 「ブルースを演奏する象」 1994年

西村繁男の『にちよういち』は、画家の故郷・高知で300年の歴史を持つ日曜市が舞台の物語。制作のために取材を重ねた画家は、登場人物の服装や仕草、個性豊かな表情を描き分け、そこで生活する人々のようすをリアルに描き出しました。さまざまな店が並び、たくさんの人が行き交うようすを描いた画面と、画家自身が手がけた土佐弁の文が結びつき、日曜市のざわめきが伝わってきます。

山道を行く男の子 『りゅうのめのなみだ』(偕成社)より 1965年 闇を見つめる村人 『ひさの星』(岩崎書店)より 1972年

自然のなかの音

雨の音、鳥のさえずり、風のざわめきなど、私たちが何気なく耳にしている、自然の音を感じさせる絵本もあります。ユリー・シュルヴィッツの『あめのひ』は、一人で屋根裏部屋にいる少女が、雨の音を聞きながら、戸外に思いをはせる物語です。少女の想像力のなかで、窓を打つ雨が寄り集まって小川に、最後には海の大波へと変化していきます。画家は、自然の一瞬の表情を繊細に描き出し、さまざまな雨の音を絵本のなかに奏でています。

ユリー・シュルヴィッツ(アメリカ) 『あめのひ』より 1969年頃
展示品数 約35点
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