<企画展>ブラジルからやってきた!
色彩の画家 ホジェル・メロ展

期 間 2014年5月16日(金)~7月22日(火)
場 所 展示室4
企 画 ミュンヘン国際児童図書館
後援・協力 駐日ブラジル大使館
一般社団法人日本国際児童図書評議会(JBBY)
ホジェル・メロ(1965~)は、ブラジルで今注目される絵本画家であり、作家、脚本家でもあります。2014年3月、メロは国際アンデルセン賞画家賞をブラジル人画家として初めて受賞しました。受賞説明では、「彼のイラストレーションは革新的かつ包括的であり、世界の文化と伝統への寛容と尊重を促す絵が組みこまれている」と述べられています。
本展では、ミュンヘンの国際児童図書館が2011年に企画した展示に出展された12冊の絵本原画88点と、絵本制作の過程がわかるダミー、愛用品などあわせて100点以上の作品と資料を日本で初めて紹介します。
メロは、1964年から1985年まで続いた軍事政権下で自由を求めて表現し続けた児童文学作家や画家たちの影響を受け、その一人であるブラジルを代表するイラストレーター、ジラウド(1932~)の下で働きました。最初の自作絵本は1990年に出したLa Flor del lado de all'a (向こう側の花)という文のない絵本で、視点が変化するおもしろさを伝えています。以後、現在までに100冊近い本の絵を手がけ、そのうち20冊には、自ら文章も書いています。
メロの絵本の魅力のひとつは、内容や本の形態、技法の多様性です。 
Meninos do mangue(マングローブの男の子たち)は、マングローブの沼地でカニを採りながら暮らす子どもたちが主人公の物語です。沼地に暮らす人たちが、ゴミを拾って新たなものに変えるのを見てインスピレーションを受けたメロは、黒い薄いビニールを背景に貼り、その上に絵の具で人物を描いた後、紙などをコラージュしてストーリーを表現しています。
『向こう側の花』 1990年 (展示は絵本資料のみ) 『Maninos do Mangue(マングローブの男の子たち)』より 2001年(個人蔵)
「Maria Teresa(マリア・テレーザ)」は、ブラジルを流れるサンフラシスコ川を航海する舟の船首が主人公の話です。獅子の頭をしているにもかかわらず、川に現れる怪物に怯えるなど、ユーモラスな冒険が語られます。絵は、メロが影響を受けたと語るブラジルの民族芸術を思わせる温かな色と構図で、川辺の豊かな風景を描写しています。2冊とも異なるスタイルの絵本ですが、絵と物語の呼吸が見事に合っています。
ブラジルの祭や伝統文化を絵本に取り込む一方で、社会的視点も持ち合わせた絵本もつくっているのがメロのもうひとうつの特徴です。前述の「マングローブの男の子たち」もそうですが、Carvoeirinhos (炭売り少年たち)は、1匹のクマバチの視点から、工場で不法に働く貧しい男の子の行動を見つめる絵本です。表紙を含め、灰色や黒色が画面を占めるなか、火の色が鮮やかな蛍光色で時々使われ、特に見開きで工場の内部が描かれているページは圧巻です。
近年は、モノクロの写真と立体作品をコラージュした絵本や、ことばの全くない絵本など、実験的な絵本にも取り組んでおり、彼の絵本づくりに対する飽くなき挑戦がうかがえます。さまざまな背景の文化を取り入れて共生発展してきたブラジルの魅力を、メロの作品は体現しているといえるでしょう。

『Maria Teresa(マリア・テレーザ)』より 1996年 (個人蔵)『Carvoeirinhos (炭売り少年たち)』より 2009年 (個人蔵)
ホジェル・メロホジェル・メロ(1965-)
ブラジルの首都ブラジリアに生まれる。リオデジャネイロ州立大学の工業デザイン学校でデザインを学び、漫画家・イラストレーターのジラウドのアトリエで働く。1990年から絵本をつくり始めた。現在にいたるまでに100冊近い絵本を手がけ、そのうち20冊は文も自ら書いたもの。絵本のほかに、演劇作品やアニメーション映画も制作しており、国内外で数々の賞を受賞。2014年3月、ブラジル人画家として初の国際アンデルセン賞を受賞した。
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