ちひろ没後40年
絵本になった! 『窓ぎわのトットちゃん』展

期 間 2014年3月1日(土)~2014年5月13日(火)
場 所 展示室1、2
トモエ学園での小学校生活を中心に、黒柳徹子が自身の子ども時代のことを書いた『窓ぎわのトットちゃん』。ちひろの没後に出版された本ですが、「いつも子供の味方、子供の幸福を願っていた、ちひろさんの絵を、使わせてもらいたい」という黒柳の強い希望で、遺された絵から、トットちゃんや友だちの絵が選ばれました。1981年に単行本として出版された本作は、戦後最大のベストセラーになり、現在も世界各国で読み継がれています。ちひろの没後40年を迎える今年、『窓ぎわのトットちゃん』が、絵本となって出版されます。本展では、黒柳の言葉とともに、絵本や単行本、初出の雑誌「若い女性」に掲載された作品も含め、約80点のちひろの作品を紹介します。

トットちゃんってどんな子?

おさげ髪やバレリーナに憧れるという女の子らしい一面を持ちながら、珍しいものをみつけると思いっきり飛び込み、穴にはまったり、垣根にもぐってジグザグに進み、パンツまで破いたり……『窓ぎわのトットちゃん』には、好奇心旺盛で豪快なトットちゃんのユニークな個性が伝わるエピソードが収められています。黒柳は、初出の「若い女性」の連載第一回目、トットちゃんがトモエ学園に初めて向かう場面に、よそゆきのおしゃれをして腰掛ける少女の作品を選びました。期待に胸を膨らませながらも、緊張が入り混じるトットちゃんの心情が、口に微笑をたたえ、きゅっと手を結んだ、少女の姿と呼応しています。
後ろ姿のおさげ神の少女 こげ茶色の帽子の少女 1970年代前半

トモエ学園のこと

普通の小学校を1年生で退学になったトットちゃんを、トモエ学園の小林宗作校長先生はあたたかく迎え入れます。先生は「みんな一緒だよ」と語り、子どもたちがお互いに個性を尊重し、協力しながら学ぶことを大切にしていました。授業や行事には、体を使ったリズム教育「リトミック」、課外学習「飯盒炊爨はんごうすいさん」、講堂にテントを張って泊まる「野宿」など、独創的な教育方法を取り入れています。絵本版の「白鳥の湖」の章に添えられた作品では、子どもたちの元気な姿が描かれています。跳ねて腕を大きく広げる後ろ姿の男の子、首をかしげ慎重にステップを踏む女の子……、絵のなかの子ども一人ひとりに、個性を見出しながら描いた、あたたかなちひろの視線は、生まれ持つ美質に目を向け、個性を伸ばすことを大切にした小林先生の大きな愛情とも重なります。

このあしたん

トットちゃんが生きた時代

物語は、トモエ学園の校舎が東京大空襲で焼け落ち、トットちゃんが満員の疎開列車で、東北へと向かう場面で終わります。子ども時代に戦争を体験した黒柳は、トモエ学園での経験の尊さをより一層実感します。ちひろも青春時代に体験した第二次世界大戦を経て、未来を生きる子どものしあわせを強く願うようになりました。
新たな作品も加えられた絵本では、トットちゃんやトモエ学園の、さらなる魅力に出会うことができます。生涯を通じて子どもの心に寄り添い活動し続けたいわさきちひろと黒柳徹子。二人の響き合う世界をご覧ください。

バラと少女 1966年 春の野原 1969年
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