ちひろのアトリエ -東京・黒姫-

期 間 2013年9月20日(金)~11月30日(土)
場 所 展示室1・3
いわさきちひろにとって、アトリエは仕事場であると同時に絵と自分と多くの人と世界を繋ぐ、大切な場でした。アトリエの変遷は、画家ちひろの人生とも密接に結びついています。本展では、東京・練馬と後年信州・黒姫に建てたアトリエの復元や資料、作品を通して、ちひろの創作の舞台裏を探ります。

敗戦直後の1946年、絵を学ぶために松本から東京に単身上京し、神田にある叔母の家の屋根裏部屋に住むようになったちひろは、この自画像でキャンバスを立てたイーゼルをバックに、スモックを着て机に伏しています。同じ部屋に共に寝起きした従妹の中村澄子に、ちひろは絵の悩みなどを打ち明けていたといいます。
松本善明との結婚、そして長男猛の誕生の後の1952年春、家族が共に暮らせる新居が練馬区下石神井(現・ちひろ美術館・東京所在地)に完成しました。十五、六畳の居間の一角に小さな机と椅子を置いて、ちひろは絵を描いていました。「いろいろな部屋に兼用しているこの仕事場(アトリエとは言い難い)」というちひろの言葉通り、居間は、幼い1人息子や友だちの遊び場であったり、お客さんを迎える応接室であったりしました。いつも背中のそばにいる猛や、駆け出しの弁護士である若い夫を支えるためにちひろは、紙芝居、広告、絵雑誌、児童文学全集など、さまざまな仕事をこなしていきます。主人のため子供のためかせぎ働きすぎ、自分の絵をだめにしてしまった。」と悩むときもありましたが、ちひろは次第に世の中に認められてゆき、息子と同じ年代の男の子を主人公にした初めての絵本『ひとりでできるよ』(福音館書店)を出版します。
『ひとりでできるよ』(福音館書店)1956年 紙芝居「お月さまいくつ」(童心社)より 1958年
1963年、夫の両親を家に迎えるため増築した折、二階に独立したアトリエが設けられました。大所帯のなかで大変ながらも、ちひろは「そのなかで絵が生まれる」と語っています。

3年後の1966年、ちひろは長野県北部の黒姫高原に、山荘を兼ねたアトリエを建てます。山や木々に囲まれ、東京での日々の喧騒から離れたこのアトリエで、ちひろは「若い人の絵本」シリーズなど、何冊もの絵本を描きました。『あかまんまとうげ』(童心社)は、黒姫山と形が似た山が描き込まれるなど、高原の春の息吹が感じられる一冊です。
『あかまんまとうげ』(童心社)より 1972年 黒姫高原のアトリエにて 1971年
「赤いシクラメンの花は きょねんもおととしもそのまえのとしも 冬のわたしのしごとばの紅一点」で始まる絵本『戦火のなかの子どもたち』は、ちひろが、初めて息子猛とともに完成させた最後の絵本です。ベトナム戦争に心を痛め、ちひろは目の前のシクラメンを見つめながら、自らの戦争体験と重ねて遠い国の子どもたちの将来を我がことのように案じ、自分がアトリエで何ができるかと考え描きました。展示を通じ、アトリエのちひろを感じて下さい。


出展作品数 約80点
『戦火のなかのこどもたち』(岩崎書店)より 1973年

関連イベント

ギャラリートーク

  • 日  程 : 9/28(土)、10/12(土)、10/26(土)、11/9(土)、11/23(土)
  • 時  間 : 14:00~14:30
  • 場  所 : 展示室1・2
  • 申  込 : 参加自由(事前申し込み不要)
  • 料  金 : 無料(入館料別)

安曇野スタイル2013 ちひろの暮らし展

  • 日  程 : 11/1(金)~11/4(月・祝)
  • 場  所 : 多目的ギャラリー ほか
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パントマイムの夕べ

  • 日  程 : 11/2(土)17:30~18:15
  • 定  員 : 40名
  • 出  演 : 藤森まさやす(パントマイミスト)
  • 料  金 : 500円(ワンドリンク付き)
  • 申  込 : 要事前予約
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