ちひろ美術館コレクション
貼る・塗る・摺る -絵本画家たちの技法と画材-

期 間 2013年7月12日(金)~9月17日(水)
場所 展示室3
絵本画家は、物語や伝えたいことを表現するため、さまざまな画材や素材を用い、描き方にも工夫をこらして絵本を制作しています。本展では、“技法”や“画材”に焦点をあて、「貼る」「塗る」「摺る」の3つのテーマから作品を紹介します。

貼る

紙や布、立体物など、多様な素材を組み合わせ、画面に貼り付ける技法を“コラージュ”といいます。
エリック・カールは、筆やスプレーなどで彩色した薄紙をカッターで切って、貼ることで、鮮やかな色彩と表情豊かな線をつくります。クラウディア・レニャッツィの『わたしの家』には、豆やパスタ、葉など身近な素材が貼られ、発見の楽しさを味わえるとともに、画家のアイデンティティが感じられます。

エリック・カール(アメリカ)「くじゃく」1991年 クラウディア・レニャッツィ(アルゼンチン)『わたしの家』より 2001年

塗る

彩色するための数多くの画材のなかから、画家たちは、表現したい世界を描くために最適なものを選びます。
ビンバ・ランドマンは、羊飼いの少年ジョットが“イタリアルネサンスの出発点”と呼ばれる画家になるまでの物語を祭壇画風の板絵にするにあたり、ジョットが生きた13世紀にも使われていた技法、卵テンペラ(*)を用いています。透明感のある鮮やかな色彩が印象的です。アンドレア・フセイノヴィッチの『不思議の国のアリス』にはアクリル絵の具が使用されています。水に溶け、乾燥後には耐水性になるアクリル絵の具は、使い方しだいで多彩な表現が可能です。この絵では厚塗りしすることで、油彩画のような艶と質感を生み出しています。

*卵テンペラ:卵と顔料を練り合わせてつくる絵の具や、その絵の具を使って描く古典技法

ビンバ・ランドマン(イタリア)『ジョットという名の少年 羊がかなえてくれた夢』より 2002-2003年  アンドレア・ペトルリック・フセイノヴィッチ(クロアチア)『不思議の国のアリス』より 2002年

摺る

一口に版画といっても、銅版や木版、石版、シルクスクリーンなど、版の素材や仕組みにより、描線や色面の質感が異なり、それぞれの味わいがあります。
木版画の技法による、ロバート・クァッケンブッシュの『すずの兵隊』は、板を削り取ることで生まれる大胆で力強い線と、木目や刷りの力加減による素朴であたたかみのある質感が魅力です。
画家たちが選ぶ“画材”と“技法”は、生まれ育った国の文化や伝統とともに、それぞれの画風をかたちづくる大切な要素です。画家たちの個性あふれる表現をお楽しみください。

ロバート・クァッケンブッシュ(アメリカ)『すずの兵隊』より 1964年

主な展示作品

出展作品数 35点

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