ちひろ美術館コレクション
ちひろ美術館が出会った世界と日本の絵本画家たち

期 間 2012年7月13日(金)~9月18日(火)
場 所 展示室3
ちひろ美術館は、世界で初めての絵本の専門美術館として1977年の開館以来、絵本を貴重な文化財と考え、活動してきました。1980年代からは、世界各国の優れた絵本画家の作品、資料の収集、保存、研究、公開に努め、そのコレクション数は32の国と地域、202人の絵本画家による約17,100点に及びます(2012年3月現在)。本展では、安曇野ちひろ美術館開館15周年を記念し、20を超える国、50人余の画家の作品約100点を一堂に会し紹介します。

安曇野ちひろ公園の池と石のオブジェは、チェコの画家クヴィエタ・パツォウスカーによるものです。美術館や公園のコンセプトについて話し合いながら、4年をかけて準備を進め、1997年の開館を前に来日、制作されました。制作スケッチからは、石の断面のとり方をはじめ、パツォウスカーがさまざまに構想を練った様子がうかがえます。鮮やかな配色と大胆なデザインは、安曇野の風景に調和し、来館者を楽しませています。
クヴィエタ・パツォウスカー 安曇野ちひろ公園 石のオブジェ 1997年 パツォウスカーによる公園のためのスケッチ 1994年

イタリアのキアラ・ラパッチーニが来館したのは、2002年7月。1週間の滞在中に「安曇野での体操」を制作しました。日本の漆器や寺社からヒントを得たという赤と黒の色使いに、細かく唐草のような模様を描きいれたり、ダイヤ模様や格子を刻み込んだり、イタリア人ならではのおしゃれ心が感じられます。気持ちよさそうに思いきり身体を伸ばすふたりは、緑と光あふれる夏の安曇野だからこそ生まれた作品です。
キアラ・ラパッチーニ 安曇野での体操 2002年
アジアや中南米、アフリカ諸国の画家との出会いも当館が大切にしていることのひとつです。厳しい制作環境に加え、絵本の出版事情も日本や欧米ほど恵まれず、作品発表の場も限られている画家たち。その作品を保存し、紹介することは、画家のみならず、その国の絵本文化にとっても意義があることでしょう。ヴェネズエラのイレーネ・サヴィーノの『光の主』は、南米のオノリコ河畔に住む民族に伝わる話です。光に照らされ、静かにゆらぐ水面と木々の葉の複雑な色彩には、熱帯雨林の神秘が感じられます。サヴィーノのように、その地を肌で知る画家が描くことで、私たちは、未知の世界を作品から感じ取り、世界中を旅することができるのです。
イレーネ・サヴィーノ 『光の主』より 1994年
美術館コレクションの大きな一角をなす日本の画家の作品も幅広く展示します。戦後の混乱期に活躍した茂田井武、その後の黄金期を牽引した赤羽末吉、瀬川康男、長新太、そして荒井良二や武田美穂といった現在活躍する画家まで、日本の絵本界を代表する画家を紹介します。画家たちの作品からは、世代を超えて読み継がれる日本の豊かな絵本を概観できます。
赤羽末吉 『スーホの白い馬』より 1967年 長新太 『ゴムあたまポンたろう』より 1998年

初めて出会う作品や画家はもちろん、幼いころ読んだ絵本、学校で親しんだ絵本、どこかで出会った絵本や画家に再会するかもしれません。クヴィエタ・パツォウスカーは「私の絵を見ているとき、どうぞ楽しんでください、そして幸せになってください。」(2011年)と言います。これは、どの画家たちにも共通する思いでしょう。ちひろ美術館が出会った絵本画家の魅力あふれる作品をお楽しみください。
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