ちひろ美術館コレクション ようこそ!絵本水族館

期間 2011年7月15日(金)~9月13日(火)
場所 展示室3・4
色鮮やかな魚、クジラにカメ、そして竜のような想像上の生き物に至るまで、絵本に登場する水の生き物は実に多種多様です。当絵本水族館では、「オジサンジュゴン」や「ダメタコ」がいる長新太の全長約3mの『びっくり水族館』が初めて展示されるほか、世界各国の絵本画家が描いた楽しい水の生き物の数々を紹介します。
長新太(日本)『びっくり水族館』より(部分) 1990年頃

色とりどりの生き物たち

水族館といえば、まずは魚類から。ブライアン・ワイルドスミスのタツノオトシゴは、色のパーツを組み合わせたパッチワークのように彩られ、ガッシュやアクリル絵具などの画材を駆使した華やかな水中の世界が広がります。愛嬌のある表情がかわいらしいタツノオトシゴですが、尾を海草に巻きつけて身体を固定していたり、魚のような背びれを持つなど、ワイルドスミスがその特徴を捉え、描いていることがわかります。その他、ピエト・フロブラーの楽器を軽やかに奏でる魚、エンリケ・マルティネス・ブランコの奇妙な魚などが魚類の面々です。
ワニやカメ、カエルといった爬虫類や両生類は、擬人化されることも多く、絵本のなかでしばしば大切な役割を果たします。アンドレア・ペトルリック・フセイノヴィッチの『いつか空のうえで』には、雲の間を歩く足の長いカメが登場します。青とグレーが基調の静かな画面で、お母さんを亡くした女の子にやさしく答えるカメのユーモラスな姿が、悲しい物語の雰囲気を和らげています。
ブライアン・ワイルドスミス(イギリス) 『さかな』より 1967年 ピエト・フロブラー(南アフリカ) 『動物の謝肉祭』より 1998年
エンリケ・マルティネス・ブランコ(キューバ) ビチート9 1990年 アンドレア・ペトルリック・フセイノヴィッチ(クロアチア) 『いつか空のうえで』より 2001年

想像上の生き物

実在しない、想像上の生き物が見られるのも、この絵本水族館ならでは。なかでも竜は、伝説上の生き物として洋の東西を問わず、愛されています。中国を起源とし、朝鮮半島や日本にも伝わる竜は、水をつかさどり、信仰の対象とされてきました。体は蛇のように長く、天を自在に駆けますが、翼はありません。韓国の画家パク・ソンワンの竜は、古紙を重ねて彩色され、生み出された古めかしい色と質感が、東洋的な崇高さを際立たせています。逆に西洋のいわゆるドラゴンは、飛竜のような姿をし、火を噴き、人々に恐れられる存在です。ユゼフ・ヴィルコンの「歌うドラゴン」は、アルプホルンとしても、実際に演奏できるユニークな竜ですが、手足の鋭い爪は、西洋のドラゴンそのものです。そのほか、人魚や日本の河童なども必見です。
パク・ソンワン(韓国) 竜虎図Ⅰ 1996年 ユゼフ・ヴィルコン(ポーランド) 歌うドラゴン 1999年

水の生き物大集合!

西村繁男の『がたごとがたごと』は、電車が江戸時代や山奥の動物の世界、お化けの世界へとお客を乗せて行く愉快な絵本です。最後に向うのは、海の底の竜宮城。電車の周りは、タコ、イカ、ヒトデにイソギンチャクとにぎやかです。
本展ではマイ・ミトゥーリッチの『コマンドルの島々』など色々な生き物が一堂に会する作品も紹介します。どんな生き物が描かれているのか、探し出すのもまた一興です。
画家は、描き出すひとつひとつに愛情をこめ、色、技法と細部まで気を配り、作品を創り出します。生き物たちの向こうにいる画家たちにも思いを馳せて、絵本水族館をお楽しみいただければ幸いです。
西村繁男(日本) 『がたごとがたごと』より 1999年



展示品数:21の国と地域、45人の画家、約85点

関連イベント

ギャラリートーク

日程 : 7/23(土)、8/13(土)、8/27(土)、9/10(土)
時間 : 14:30~
申込 : 参加自由
料金 : 無料(入館料のみ)
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