〈企画展〉東欧と日本を結ぶ 色と線の幻想世界 ドゥシャン・カーライ×出久根育

期 間 2011年3月1日(火)~5月10日(火)
場 所 展示室4
後 援 絵本学会、(社)全国学校図書館協議会、(社)日本国際児童図書評議会、スロヴァキア共和国大使館、チェコ共和国大使館
協 力 偕成社、のら書店
スロヴァキアを代表する絵本画家ドゥシャン・カーライとカーライに学び、世界的に活躍する日本の絵本画家、出久根育。本展は、ふたりの画家の作品を紹介する初の展覧会です。

ドゥシャン・カーライ

ドゥシャン・カーライは、1988年、40歳の若さで国際アンデルセン賞画家賞*1をスロヴァキア(当時はチェコスロヴァキア共和国)で初めて受賞しました。繊細で緻密な描写とその複雑な色の重なりがつくりだす独特の幻想的な世界は、多くの人を魅了しています。展覧会開催や絵本出版など、日本との縁も深く、来日は5回を数えます。1998年には、板橋区立美術館のボローニャ国際絵本原画展にあわせ開催される「夏のアトリエ」*2で講師を務め、絵本画家を目指す日本のイラストレーターたちが多くの刺激を受けました。出久根育もそのとき、カーライの教えを受けた一人です。カーライが教鞭をとるブラティスラヴァ美術大学でも、日本の若い画家がスロヴァキアに渡り、カーライに学んでいます。

シェイクスピアやオスカー・ワイルドといった文学作品の挿絵を多く手がけるカーライは、大切なのは、「いかにテキストを深く読み込み、自分のものにして表現するか」と語っています。『魔法のなべと魔法のたま』(1989年)と『3つの質問』(2007年)との間には、18年の歳月が流れています。以前に比べ、一部に彩度のより高い色が使われるなど変化も見られますが、少しくすみのある柔らかなピンクをベースに、細かく線を重ね、微妙な色合いで丁寧に描くスタイルは、年を経ても変わりません。その作品からは、作家のつくった作品に向き合い、自身の世界観を表す真摯な姿勢がうかがえます。本展では、アンデルセン賞受賞後の1989年に描かれた作品、未発表アニメーション作品、銅版画、1999年以降に制作され、当館初公開の新収蔵作品等を展示し、カーライの多様な仕事の魅力を紹介します。
ドゥシャン・カーライ
1948年、スロヴァキア・ブラティスラヴァに生まれる。ブラティスラヴァ美術大学に入り、ブルノウスキーに師事。現在同大学教授。絵本のほかに、版画、切手デザインなどの仕事も手がける。

出久根育

出久根育は、2003年ドゥシャン・カーライも審査員を務めたブラティスラヴァ世界絵本原画展*3で、グランプリを受賞しました。受賞作『あめふらし』は、グリム童話の一話。木のパネルに油彩という中世ヨーロッパ絵画によく見られる手法による重厚な雰囲気と光沢感が、おとぎ話の不思議な世界を巧みに描き出しています。出久根は「どんな空想の世界を描くときでも、物を観察し、自分の目で捉えてからイメージを形づくる」と言います。『あめふらし』の後の作品『ワニ』は、ジャングルで暮らす1匹のワニの物語。リアルで細密な描写のなかで非現実的な物語が展開することで、シュルレアリスム性が強調されています。

現在チェコの古都プラハに暮らす出久根の作品には、ヨーロッパの長い伝統や文化、人々の暮らし、豊かで厳しい自然が感じられます。本展では、テンペラ技法で描いたスラヴ地方の民話『十二の月たち』等からも作品を紹介します。

物語から、独自の世界をつくりあげるドゥシャン・カーライと出久根育。ふたりの画家の幻想の世界をどうぞ、お楽しみください。

出久根育
1969年、東京都に生まれる。武蔵野美術大学卒業。1996年初めての絵本『おふろ』を手がける。『マーシャと白い鳥』で2006年日本絵本賞大賞受賞。現在、チェコ・プラハ在住。
*1   1953年に国際児童図書評議会(IBBY)が創設し、2年に一度、現存の作家および画家の全業績に対して贈られる子どもの本の国際賞。
*2   1998年より、板橋区立美術館にてさまざまなテーマ、講師により開催されているイラストレーターを対象にした絵本制作の専門的な講座。;
*3   スロヴァキアの首都ブラティスラヴァで1967年より隔年開催。すでに出版されている絵本の原画を対象に、グランプリ、金のりんご賞、金牌等が授与される。
     

展示品数:
ドゥシャン・カーライ 約40点
出久根育 約40点

関連イベント

ギャラリートーク

日程 : 3/12(土)、3/26(土)、4/9(土)、4/23(土)
時間 : 14:30~
申込 : 参加自由
料金 : 無料(入館料のみ)
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