茂田井武の幻灯会とミニトーク

2011年6月4日(土)

<企画展>「茂田井武の世界旅行」関連イベントとして、茂田井武の次女・後藤暦さんをお招きし、若き日の茂田井の世界旅行に関する内容を中心に、お話をうかがいました。

ごく限られた日本人のみが渡欧していた1930年代初頭、シベリア鉄道などを乗り継いで一人ヨーロッパへたどり着いた茂田井武は、20代前半を主にパリで過ごします。17区のアパート自室で、愛着のある周辺の情景を描いた画帳『ton paris』のなかの光景と、現在のパリの建物とを見比べると、八百屋や牛乳屋など、当時と同じ業種の店もまだ存在し、茂田井の足音が聞こえてきそうな街並みが今も残っているとのこと。


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帰国後も、パリの印象は繰り返し描かれています。茂田井が亡くなった後も部屋の隅に置かれ、残された家族で「父のいない部分をこの絵を見ながらなぐさめていた」という、パリの遊園地ルナパークを描いた作品なども紹介されました。暦さんは、「パリでの生活は大変だっただろうけれど、父は生き生きと暮らしていたんだろうと思います」と語りました。

家の障子に映して繰り返し見たという幻灯『ドリトル先生アフリカへゆく』は、「これ、 こうなるんだよね!」などと途中で言い合いながら、親子でにぎやかに楽しんだとのこと。茂田井家のほほえましいエピソードに、会場は、温かな空気に包まれました。

(屋代亜由)

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